特殊な修理


時にはこんな修理も

写真  某メ-カ-の比較的大型のワンボックス車です。数年前のキズになりますが、もう車歴も10年超なので、ちぎれた部分にアルミテ-プを貼ってそのまま乗っていたとの事。だいぶサビも目立ってきておりますが、やはり直したいとの事で、部品交換で高額になる事を薄々感じつつも、可能な限り費用は抑えたい。仕上りレベルを下げても新品交換せずに何とかならないかというご要望。

技術者としての【苦悶】【葛藤】

写真  大切なお車を、損害前の状態に復元し、今後も長く綺麗にお使い頂く為には、この場合、やはり部品交換が最適な選択であることは言うまでもありません。しかし、リヤフェンダ-の交換作業は部品代はもちろん、サイドガラスやリヤエアコンの脱着等々の付随する作業も多岐にわたる為、費用は比較的大きなものになってしまいます。
 では、この数十cmちぎれてしまったリヤフェンダ-を修理する事は本当に出来ないのか。部品交換との違いをご理解頂き、将来起こりうる不具合を想像する。そこには、少なからず技術者としての苦悶と葛藤が存在します。それでも尚、お客様が修理をご選択されるのであれば、私共は、そのニ-ズにお応えして参ります。

損傷状態の確認①

写真 まずはアルミテ-プを剥がして全体の損傷を把握します。
鈑金するには、なかなかの…。

損傷状態の確認②

写真 内部の損傷と錆も確認したい為、室内の分解です。ホイ-ルハウスのパネルも折れ曲がっている様です。

内部の熔接と錆の処理

写真
まずは少し切開をして、切れてしまっている内側のパネルの熔接と錆の処理。鋭利な物が貫通したんですね…。ホイ-ルハウスの鈑金と合わせて。

鈑金と熔接

写真 外側のパネルの変形を、あらゆる工具を使って鈑金しながら熔接。
大きな衝撃や熔接熱による鉄板の伸びを修正しながらの作業。
 

パテ成型と下地処理

写真 可能な限り損傷前の状態に戻したい思いでパテ成型。アーチの膨らみやプレスラインにも細心の注意を払って。
 

塗装➡磨き➡組付

写真 塗装をして磨き、分解部品を組付けます。

作動確認➡完成

写真 スライドドアや窓の開閉、ランプ類の点灯、室内のシートやシートベルトの取付、作動確認をして完成。今回は金額を重視した為、スライドドアは鈑金ではなく、リサイクル部品を利用しました。
結果、総額で当初見積りの半額程度に納まりました。最後にもう一度、交換ではなく鈑金した事のリスクをお客様と確認して、お引渡しとなりました。